婦人科 京都 健康スポーツ医。いとう女性クリニック 京都では、腹腔鏡下手術、子宮内膜症・卵巣嚢腫、子宮筋腫、月経不順、ピル・アフターピル処方、更年期障害の診察・診療をいたします。土曜・日曜診療有り。

いとう女性クリニック

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子どもの事故防護活動 --- 子どもが育つ魔法の言葉

11. 愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ

 わたしたちは、人を愛するとき、人生の真の喜びを感じます。愛ほど、強く大きな力はありません。人を愛し、愛されることは、人間にとっていちばん大切なことです。親に惜しみなく愛された子は、すくすくと育ちます。親の愛は、子どもにとって、成長に欠かせない土壌です。同時に、伸びていく方向を決める陽の光であり、欠くことのできない水でもあるのです。
子どもは生まれた瞬間から、いや胎内にいるときからすでに親の愛を必要としています。生まれたばかりの赤ちゃんは、親の愛情がなければ生きてゆけません。親の胸に抱かれ、あたたかい眼差しを注がれて、子どもは親が自分を愛してくれていることを感じるのです。子どもは、どんなに大きくなっても、常に親の愛を必要としています。親は、そんな子どもに、愛しているということを態度で示してあげましょう。子どもを愛するということは、子どもの全存在を認めるということなのです。
愛が必要なのは、もちろん子どもだけではありません。愛は、人間の根源的な欲求であり、わたしたちは大人になってからも、人のぬくもりや心の触れ合いを求めつづけます。わたしたち人間は皆、自分を丸ごと受け入れてくれる誰かを必要としているのです。
愛情は、ことばや態度に表れます。子どもはそれを敏感に感じ取るものです。口先だけで「愛している」と言ってもだめなのです。わたしは、子育て教室で、親御さんたちに、愛は三つの柱で支えられているのだとお話しします。その三つとは、子どもを認め、信じ、思いやることです。欠点も含めた全存在を受け入れ、愛してくれる親というものが、子どもにはぜひとも必要なのです。子どもは、そのように愛されることによって、人を愛することを学ぶのです。

親の愛とは、子どもを無条件に受け入れること

「受け入れる」という言葉の英語の元々の意味は「自分の方へ引き寄せる」というもので す。親が子どもを受け入れるのは、まさに「自分の方へ引き寄せる」行為なのです。親は、子どもに微笑みかけ、抱き寄せ、頬ずりし、口づけします。幸福な子どもの幼年時代は、このような親とのあたたかい触れ合いに満ちているものです。
子どもを丸ごと愛している親は、その子のすべてを認め、受け入れています。ですから、子どもを自分の望むように変えたいとは思わないものです。けれど、自分の夢に固執している親御さんはそうは思えないのです。
あるお母さんの娘さんは、バレエより本を読むのが好きでした。あるお父さんの息子さんは、バスケットボールより化学に興味がありました。このお母さんとお父さんは、そんなわが子に不満でした。しかし、自分の叶わなかった夢を子どもに託すことと、子どもが自分の夢を実現できるように支え、励ますことと、どちらが親として大切でしょうか。親が親自身の夢にしがみついているのと、子どもの夢を分かち合うことと、どちらが親として豊かな体験ができるでしょうか。
言いつけを守らなかったり、いい成績を取らなかったりしたら親に愛してもらえないと感じる子がいたとしたら、それはとても不幸なことです。愛は、何かの報酬として与えられるものではありません。「これをすれば愛してあげる」と、愛情に条件をつけるのは本当の愛とは呼べないのです。
子どもを無条件に愛したら、子どもは怠け者になってしまうのではないかと心配する親御さんがいます。しかし、そんなことはありません。親の愛とは、子どもの人生の土台なのです。何かと引き替えに、子どもが努力して手に入れられるようなものではありません。
もちろん、子どもを無条件に愛することと、子どもを甘やかすこととは違います。子どものすべてを受け入れながらも、悪いことは悪いと教えることが必要なのです。
六歳のジェイソンは、庭に自転車を置きっぱなしにしていました。いつも、お父さんの車の通り道に放ったままなのです。お父さんは、きちんと軒先に入れておきなさいと何度も言っていました。車で倒してしまう恐れがあったからです。でも、ジェイソンは、いつもうっかりしてしまいます。とうとう、ある晩、お父さんは、車輪の下で何かが潰れるのを感じました。
お父さんは、怒りを抑えながら玄関の扉を開けました。何も知らないジェイソンは、帰ってきたお父さんに抱きつきました。
お父さんはジェイソンを抱きあげました。それから、真面目な声でジェイソンに言いました。
「見せたいものがあるんだ」
そして、ジェイソンを窓辺へ抱きかかえていきました。窓の外に、つぶれた自転車が見え ます。
「わあ、ひどい!」
ジェイソンはそう叫ぶと、お父さんの首にしがみつき、肩に顔をうずめました。
「自転車を置きっぱなしにしただろう」
お父さんは事実だけ言いました。ジェイソンは領きました。お父さんは、ジェイソンを抱きかかえたまま言葉を続けました。
「お父さんは、ずっと、こうなると思ってたんだよ」
そして、ジェイソンを床に降ろし、息子の目をじっと見つめました。
「自転車は、もうダメかもしれないよ」
ジェイソンは、涙ながらに鎖きました。お父さんは言いました。
「行って、よく見てみよう。直せるかもしれないしね」
このお父さんは、こうして、息子に「たとえ過ちを犯しても、お父さんはいつもお前の味方だよ」ということを伝えようとしたのです。

スキンシップの大切さ

 子どもを抱きしめたり、やさしく体に触れたりするスキンシップは、大切な愛情表現の一つです。人と触れ合いたいと思うのは、人間の根源的な欲求です。それは赤ちゃんから老人まで変わりません。実際、最近の研究でも、触れることには癒しの作用があることが判明しています。医学的な治療を受けた後、愛情のこもった手で触れてもらうと、わたしたちの体は、治癒能力を高めるというのです。
親とのあたたかい触れ合いが子どもに必要なことは言うまでもありません。お父さんやお母さんの膝に抱かれれば、悲しみは癒され、擦り傷の痛みも消えてしまいます。ちょっと抱き寄せてもらうだけでも全然違うのです。
できるだけスキンシップをし、子どもを愛しているということを示してください。これは、本当に大切なことなのです。わたしの子育て教室で、こう話してくれたお母さんがいました。
「わたしは、息子を十分愛してあげなかったのではないかと、今とても後悔しています。本当は、とても愛していたのに。それを示してあげられなかっただけだったんだと思います」
どのようにして愛情を示したらいいのかを学び直さなくてはならないと感じている親御さんもいることでしょう。あるお母さんは、自分の両親は冷淡だったとわたしに話してくれました。しかし、このお母さんのご両親も、親としてうまく愛情を表現することができなかっただけなのかもしれません。ですが、親子関係のパターンは繰り返されるものです。このお母さん自身も、わが子を愛しているにもかかわらず、うまく愛情を表現できないと悩んでいました。
けれど、このお母さんは子どもを強く愛していました。親から受け継いでしまったパターンから抜け出し、娘には十分に愛情を示したいと思ったのです。そこで、できるだけ娘を抱きあげるようにし、本を読んでいるときや遊んでいるときも、なるべく体に触れるようにしたのだそうです。そうしてみると、スキンシップの機会は、毎日、驚くほどあることに気づきました。自分が親にそうされなかったので、今まで気づかなかっただけだったのです。数週間後、このお母さんは、わたしに言いました。
「スキンシップは、子どものためだけじゃなく、親のためにもすごくいいものなんですね」
子どもには、親とのスキンシップが不可欠です。やさしい言葉だけでなく、肉体的な接触によって、子どもは、親が自分を愛していることを感じるのです。できるだけ多く、子どもを抱きしめ、やさしく触れてください。子どもには、そんな親の愛がぜひとも必要なのです。

両親の夫婦仲は、子どもの結婚生活の手本

 両親がどんな夫婦であるかは、カップルのあり方の手本として、子どもに大きく影響します。子どもは、両親の姿から、結婚生活とはどのようなものであるかを学びます。そして将来、自分たちの結婚生活の手本とするのです。両親がどのような夫婦であるかは、善かれ悪しかれ、子どもがどのような相手を配偶者として選び、どのような夫婦関係を築いてゆくかを大きく左右するものなのです。
夫婦仲の万能薬はありません。だからこそ、わたしたち親は、できるだけ良い手本になれるように努力しなければなりません。良い夫婦とは、双方の愛情のバランスの取れたカップルです。相手の長所も短所も認め合っている、やさしさと思いやりに満ちた夫婦です。
子どもは、両親の良い面も悪い面も見ています。お母さんとお父さんは夫婦として、互いに相手を尊敬し、支え合っているでしょうか。自他の違いを認めながらも、共通の価値観と愛情によって結びついているでしょうか。そんな御夫婦であれば、子どもにとって、未来の幸福な結婚生活の手本となることができると思うのです。

親に愛されて育った子ども

 親に愛されている子どもは、頑張り屋で親切です。自分を肯定し、愛することのできる人間に成長してゆくでしょう。愛情に満ちた関係とはどのようなものであるかが分かっているので、将来、愛し愛される関係を築いていくことができます。これこそが、人生で最も大切 なことの一つなのです。

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