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いとう女性クリニック

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子どもの事故防護活動 --- 子どもが育つ魔法の言葉

2. とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる

 わたしたちは、敵意や憎しみを抱いたとしても、なかなかそれを意識できないものです。
新聞の社会面で、子どもを虐待し、殺してしまった親について書かれた記事を目にすることがあります。けれど、多くの人は、それは自分とは別世界の出来事だと感じるはずです。
 しかし、わたしたちも、家庭生活の中で、恨みや怒りの感情を鬱屈させてしまうことがあります。それが親子関係や夫婦関係に影を落としたり、大きなトラブルに発展しないともかぎらないのです。
悲しいことに、現代社会は、敵意と暴力にあふれた社会でもあります。この地球上では、常にどこかで戦争が起こっています。わたしたちの住む社会でも、凶悪な犯罪や、親子や夫婦間での暴力や殺人が起きています。暴力団の抗争など、恐ろしい出来事が起こることもあります。その一方で、子どもたちは、テレビや映画で、毎日のように暴力的なシーンを目にしています。実際にいやな経験をする子もいるでしょう。家で兄弟にいじめられたり、学校でいじめを受けたり、街で喧嘩を目撃したり、近所の人たちの争いを目にしたり――。お父さんとお母さんが言い争っているのを目の当たりにすることもあるでしょう。あるいは、お父さん、お母さんが、上司、あるいは近所の人とやり合っているのを耳にしたり目にしたりすることもあるかもしれません。
子どもは、敵意や憎しみのなかで育つと、精神が不安定になります。子どもによっては、不安から逃れるために、乱暴になる子もいます。自分自身が強くなることで、不安に打ち勝とうとするのです。
また、子どもによっては、引っ込みじあんになってしまう場合もあります。いつも不安な気持ちでいるので、他人との対立や葛藤を極度に恐れ、自分の殻にとじ込もってしまうのです。そんな引っ込みじあんな子どもは、学校でいじめの標的になり、乱暴な子の餌食になってしまうこともあります。
もしも親が家庭内で暴力をふるったり、口汚く罵り合ったりしていたとしたらどうでしょうか。子どもは、それが当たり前のことだと思うようになってしまいます。人生は戦場だ、目には目を、歯には歯をだと思うようになるのです。こんな闘争的な人間にわが子を育てたいと思う親御さんはいないと思います。
家庭内の対立や葛藤を、わたしたち親は、夫婦間、親子間でどのように解決しているでしょうか。罵り合い、暴力をふるい合ってはいないでしょうか。話し合い、歩み寄って解決していますか。わたしたち親のやり方が子どもに大きく影響し、将来、子どもは親と同じことをするようになるのです。
たしかに、わたしたちは、ささいなことで感情的になり、カッとなってしまうことがよくあります。ストレスがたまり、イライラしていると、ささいなことがしゃくにさわってしまうのです。たとえば、忙しい夕飯時には、特にそうです。家族のみんながお腹を空かせて疲れて帰ってきます。この時刻には、みんながそれぞれのストレスをためているのです。
四歳のフランクは、幼稚園でいやなことがありました。ずっと待っていたのにコンピューターが使えなかったのです。先生は、なんだかひいきしているようなのです。お父さんのお迎えも、その日にかぎって遅れました。仕事が忙しかったのです。
車に乗ると、お父さんはフランクに話しかけました。
「幼稚園はどうだった?」
本当は、お父さんも、疲れていて、口をききたくなかったのですが……。
「べつに」
窓の外に目をやったまま、フランクは、後ろの席からそっけなく答えました。カーラジオからはニュースが流れています。道は渋滞しています。
二人が家に帰りつくと、お母さんはキッチンで夕飯の支度に大忙しでした。カウンターの上の小型テレビからはニュースリポーターの気ぜわしい声が流れています。みんなお腹がぺこぺこです。フランクは、上着を脱ごうとして、カウンターの上に置いたお弁当箱を引っ掛けてしまいました。お弁当箱は床に落ち、あたりはパンくずだらけになってしまいました
……。これは、きっとみなさんにもお馴染みの場面ではないでしょうか。そして、この後、どうなるかも……。
わたしたちは、忙しくて、細かいことに気を配ってはいられない時がしょっちゅうあります。そういうときには、どうしても、イライラや怒りの感情を上手にコントロールできなくなってしまいます。しかし、そんな時だからこそ、感情をうまくコントロールしたいものです。日常生活で感じるイライラや不満を、日頃から上手に発散させておかないと、積もり積もって屈折した恨みや怒りの感情となってしまいます。そして、何かの拍子に爆発してしまうのです。
幸い、フランクのお母さんは、そういうことにはなりませんでした。お母さんは、フランクに卓上箒と塵取りを渡して言いました。
「いいのよ、フランク、大丈夫よ。ほら、これでゴミを集めて」
そして、オーブンに鶏肉を入れ終わると、脇にしゃがんでこう話しかけました。
「きれいになったわね。じゃ、後はお母さんがやるから、これでいいわよ」
そして、箒を手にすると、フランクが差し出す塵取りに、残りのパンくずを掃き入れました。フランクはお母さんにやさしくしてもらって、うれしそうです。
こんなにうまい具合にはいかないものだと、みなさんは思われるかもしれません。たとえば……。
お弁当箱を落としてしまったフランクは、欲求不満を爆発させてこう叫びます。
「なんだ、こんなお弁当箱! 幼稚園なんて、大嫌いだ!」
お母さんはお母さんで、お父さんに向かってこう怒鳴りちらすかもしれません。
「どうしてフランクを見ててくれなかったの! こっちは忙しいんだから!」
あるいは、怒りはフランクに向かうかもしれません。
「なにやってるの! どこ見てんのよ、あんた」
こんなお母さんの態度は、子どもにとって悪い手本になるだけです。
カッとならないための対処法に関しては、わたしたち大人は、むしろ子どもを見習うべきでしょう。子どもは、何かに飽きると、体を動かす遊びをして(たとえば、駆けっこやお絵描きやおママゴトなど)イライラを本能的に発散させています。わたしたち大人も、子どもを見習って、イライラしたら体を動かしてみるといいのです。たとえば、散歩や庭いじりや洗車などはどうでしょうか。時間がないときは、深く息を吸ったり吐いたりして呼吸を整えるだけでも効果があります。深呼吸して十数えるというのは、カッとならないための、祖母たちの知恵です。これで緊張がほぐれ、心が落ちつくのです。イライラしないことは、わたしたち自身のためだけでなく、子どものためにも大切です。
子どもがイライラしているときには、こんな空想ゲームをして、子どもの心をほぐしてあげましょう。たとえば、幼稚園でいやなことがあって帰ってきたフランクに、お母さんは次のように尋ねました。
「今日、幼稚園で、フランクは、なんの動物だったの?」
フランクは答えて言いました。
「ウーッて唸ってる、ライオン」
次に、お母さんは、家に帰った今はどんな動物になっているかを尋ねました。フランクが、たとえば「子犬ちゃん」と答えたら、それは親に甘えたいというシグナルなのです。ストレスを発散できるように、こんなときは、その子を十分甘えさせてあげましょう。

感情を上手に表現する

 子どもも、わたしたち大人と同じように、感情を自由に表現する権利があります。だからといって、人や物に当たり散らしてもいいかといえば、もちろんそんなことはありません。子どもが、人をぶつ、蹴る、突き飛ばす、あるいは人に噛みつくなどしたら、その場で厳しく反省させなくてはなりません。特に、幼い子どもは手が先に出てしまいがちです。ですから、言葉で気持ちを表すことができるように、親がしつけてゆかなくてはならないのです。
けれど、子どもが感情を押し殺すようになるのはよくないことです。親は、怒りや欲求不満といった子どものマイナスの感情も、受けとめなくてはなりません。何ごともバランスが大切なのです。
ある日、九歳のテレサと、遊びに来た友だちとが喧嘩を始めました。お母さんは止めに入って言いました。
「そんなふうに、お友だちのことを怒ってもいいの、テレサ? さあ、二人とも、もう喧嘩はやめなさい」
その日の夜、お母さんは、歯磨きをしていないテレサを怒鳴りつけました。すると、テレサはこう言いました。
「そんなふうにあたしを怒ってもいいの、ママ?」
この一言に、お母さんはカンカンになりました。
しかし、ちょっと冷静になって考えてみれば、テレサの言ったことは理にかなっています。別にお母さんを茶化したり、馬鹿にしようとして言ったわけではありません。テレサからすれば、お母さんはこう言っているように思えたのです。
「大人は怒ってもいいが、子どもは怒ってはいけない」「人はテレサを怒ってもいいが、テレサは人を怒ってはいけない」
テレサがこう思うのは、当然のことです。親は、子どもに対して、このような矛盾した態度を示すべきではありません。
大人に感情があるように、子どもにも感情があります。子どもが自分の感情をきちんと言葉で表現できるように、親は導いてゆきたいものです。
たとえば、「怒ってるんでしょう」と先回りして言ってしまわずに、「どうしたの?」と尋ね、「どうしたらいいかな?」と、子どもに考えさせるようにしてほしいのです。 そうすれば、子どもは自分が今どんな気持ちなのかがわかります。そして、どうすればいいのかも考えられるようになるのです。

子どもに正直になる

 不満やイライラや怒りといったマイナスの感情を、わたしたち親は日頃どんなふうに表に出しているのでしょうか。子どもの前で、むやみに感情的になるのはもちろんよいことではありません。が、だからといって、感情を押し殺すのもよくありません。子どもというものは、親が隠そうとしても、親の気持ちを感じとるものです。ですから、子どもの前では気持ちに嘘をつかないことが一番いいのです。
ある土曜日の朝、サムのお母さんは家の掃除にてんてこまいでした。この一週間、仕事が忙しくて大変だったのです。床の上のクッションをソファに投げつけているお母さんを見て、九歳のサムは言いました。
「お母さん、ぼくのこと怒ってるの?」
お母さんは、はっとして答えました。
「ううん、怒ってなんかいないわよ」
それを聞いて、サムは遊びに出ました。でも、お母さんはどうしたんだろうと気にかかったままです。お母さんは、サムの問いに対して、正直に「そうよ、怒ってるのよ。リビングにおもちゃを持ってきたら、自分の部屋に戻しなさい。大変なんだから。さあ、手伝って」と言うべきだったのです。お母さんが本当のことを言っていれば、サムは、やはりお母さんは怒っていたのだと納得できたでしょう。そして、お手伝いもできたはずです。
また、親は、夫婦喧嘩に関しても、子どもにオープンであるべきだとわたしは思います。
七歳のカーラは、ある時、夜中に目が醒め、両親の言い争う声を聞いてしまいました。すっかり怯えてしまい、カーラは布団にもぐりこみました。そして、また眠ってしまったのですが――。お父さんは、自分たちの言い争う声がカーラの耳に入っていることに気がついていました。
それで、翌朝、カーラにこう説明しました。
「ママとパパはお金のことでお話をしてたんだけど、喧嘩になっちやったんだよ。起こして悪かったね」
大事なのは、子どもの不安をとりのぞくことなのです。お父さんとお母さんは本当に喧嘩をしていた。けれども、不安になる必要はない。そのことを、カーラに納得させることが大切なのです。お父さんは、続けて言いました。
「お金の使い方で、考えが合わなかったんだけど、こうしようって決めて、ちゃんと仲直りできたんだよ。またなにかあったら、二人でよく話すことにしたんだよ」
こんなふうにお父さんに説明してもらえば、カーラは安心できます。人は時には喧嘩をすることがある。けれども、それで相手を嫌いになるわけではないのだ。それが子どもなりに理解できれば、子どもは安心できるのです。また、家族の間では、よく話し合って解決すべき問題があるのだということもカーラはここで理解したのです。夫婦喧嘩をしたと正直に伝えたほうが、かえって子どものためになります。子どもは、共同生活での歩み寄りと話し合いの大切さを学ぶでしょう。これは、子どもが大人になったとき、結婚生活の知恵として生きるはずです。

完壁な手本になる必要はない

 人に対する怒りや敵意の感情は、黒雲のようにわたしたちの心をおおったかと思うと、またすっと消えてゆくものです。だからといって、感情は天気みたいなもので、自分ではどうしようもないのだと責任のがれすることはできません。自分がどんな時にどんなふうに癇 癪を起こしているか、これはよく考えてみれば分かることです。感情をうまくコントロールできれば、人に喧嘩を売るような事態は避けられるでしょう。一度喧嘩を始めてしまえば、感情はエスカレートしてしまうばかりです。そんな事態はできることなら避けたいものです。
皮肉なことに、わたしたちは、好きな人に対して、よけいに腹が立ちます。だからこそ、感情的にならないように、日頃から注意する必要があります。怒り狂ってしまったら、自分でも手がつけられなくなってしまうからです。そうはならないように常に気をつけたいものです。
わたしたち親は、子どもにとっての完璧な手本になる必要はないのです。感情的になってしまったら、それを認め、子どもに謝ることができれば、それでよいのです。子どもは、そんな親の姿から大切なことを学ぶに違いありません。お父さんとお母さんも、感情的にならないように常に努力しているのだということを。
たとえば、怒りの感情は心の敵なのではなく、うまく処理すべきエネルギーなのだということもできます。それを子どもに分からせることが大切です。怒りのエネルギーは上手に使うとよいのです。これは、わたしたち自身にとってだけではなく、家族全員のためにも大切なことです。わたしたち親の日頃の態度を見習って、子どもは育ってゆき、それが孫の世代まで受け継がれていくのですから。

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